【第5回】「学校を創る」というハードル
- YDM Global Academy
- 7月15日
- 読了時間: 5分
更新日:7月18日
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学校を「創る」ということは、6つの壁と向き合うことでした──

🧱 創業計画書は「理想の第一歩」──でも現実には、6つの壁が待っていた
2024年1月。ようやく創業計画書が完成し、
私は「これでついにスタートラインに立てた」と胸をなでおろしました。
しかし、本当の勝負はここからだったのです。
学校を創る──それは、夢を形に変えるということ。
そのプロセスには、**6つの大きな“壁”**が立ちはだかっていました。
法人設立
校舎の確保と改修工事
教員採用
日本語教育機関としての認可申請
学生募集
行政・地元企業・地域との連携構築
これらすべてを乗り越えなければ、私の学校は“名前だけの理想”に終わってしまいます。
⚠️ 壁その1:「法人設立」という“無知の壁”
学校設立の第一歩は、「法人をつくること」。
聞いたことはあっても、やったことはない世界。
定款、登記、代表印、公証役場……次々に現れる専門用語に、頭はパンク寸前でした。
ネットで検索しても、情報はバラバラ。何が正解なのかすら分からない。
そんな中で頼りにしたのが、「特定創業支援等事業」という制度。
登録免許税が半額になる制度を活用し、自治体の窓口に何度も通い、
書類はすべて自作で仕上げました。
資本金500万円をなんとか準備し、登記も完了。
でも、この金額は、これから続く“壁ラッシュ”の前では
ほんの“導入編”にすぎませんでした。
⚠️ 壁その2:「校舎の確保」と“制度変更の壁”
当初は、「賃貸物件でスタートできるだろう」と考えていました。
ところが申請直前で、認可管轄が出入国在留管理庁から文部科学省へと変更。
それに伴い、**「校舎は原則として自己所有であること」**という
新たな条件が課されました。
この一文で、計画は根本から崩れ始めます。
地方とはいえ物件購入+登記+仲介手数料で数百万円
改修が必要な物件ばかり
売買契約・融資・リフォーム工事の調整地獄
「借りて始める」柔軟性が消えた瞬間、資金計画が完全にリセットされました。
⚠️ 壁その3:「教員採用」は、理念だけでは動かない
文科省の認可要件により、校長・主任・事務長の3名の常勤雇用が開校前から必須に。
つまり、開校していなくても、月数十万円の人件費が発生するということです。
しかも私たちが掲げるのは、「就職直結型のキャリア教育」。
ただ教えられる人ではなく、
理念に共感し、即戦力として行動できる人材
が必要でした。
毎日が、就活×面接官×人材マッチング。
何度も面談し、すり合わせ、また立ち止まる──
「いつか、きっと出会える」と信じながら動き続けました。

⚠️ 壁その4:「認可申請」という巨大な山
日本語教育機関として正式に認可されるには、
文部科学省と法務省、2つの省庁からの承認が必要です。
この審査、想像以上に細かく、重い。
校舎の面積、採光、トイレ数までチェック
避難経路図、教室配置図、全設備の寸法データ
学生の想定出身国や年齢層、入学時期別データ
教員の経歴証明書と雇用契約書の提出義務
提出書類は300ページ超え、一つでも不備があれば差し戻しどころか審査終了。
もちろん、認可が下りるまでは営業活動もできません。
この壁は、メンタルと事務処理の総力戦でした。
⚠️ 壁その5:学生募集──リアルな“費用”の衝撃
製造業で外国人採用を経験していたため、
「留学生の募集は何とかなるだろう」と思っていました。
しかし、紹介会社を通すと、1名あたりの紹介料が最低15万円。
仮に40名集めたら、600万円以上。その全額が、開校前に必要になります。
「えっ、誰も教えてくれなかったんだけど……」
この時、私は“学生募集=ビジネス”であることを痛感しました。
契約書のドラフト、説明資料、交渉、フォロー──
すべて、自分ひとりでやるしかありませんでした。
⚠️ 壁その6:「地域連携」は、“信頼”の積み重ね
行政との連携、企業ネットワークの構築、町内会やNPOとの協働。
これらは、開校前から始めなければなりません。
でも──「実績ゼロの学校」に、誰がすぐに手を差し伸べてくれるでしょうか?
信頼は、一日にしてならず。
だからこそ、私は訪問・資料・提案内容のすべてに“本気”で準備を進めてます。
どれだけ時間がかかっても、真摯に動き続けること。
それだけが、信頼を積み重ねる唯一の手段でした。
■ 動けば、壁は“課題”に変わる
私はこの経験から、たった一つの真理を学びました。
「動けば、課題が見える。止まれば、何も見えない。」
もし、6つの壁におびえて動かなかったら──
YDM Global Academyは、今も存在していなかったでしょう。
✍️ あとがき
まだまだ道半ばではありますが、
学校づくりは、地味で、地道で、果てしないプロセスです。
華やかさとは無縁。でも、だからこそ確信できます。
「挑戦する価値がある」
読者の皆さんの中にも、今まさに“壁”と向き合っている方がいるかもしれません。
その方へ、私の実感を込めてこの言葉を贈ります。
「動けば、見えてくる。」
次回は、この挑戦に込めた名前の物語をお届けします。
🔜次回予告|#6 YDM Global Academyという名前に込めた願い
校名を決める──それは、理念と未来を“言葉”にする作業でした。
「YDM」に込めた想いと、創業者自身の覚悟とは?名前に宿る“約束”の物語を、
心を込めてお届けします。
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